おせち料理の値上がり

 

こんにちは。

こちら福岡では晴天が続いており、朝夕の冷え込みが進まない穏やかな11月です。今年の冬は寒いと聞きますが、本当なんでしょうか?

さて。

たまに通販番組を見ていると、おせち料理を売ったりしてますね。このところ朝の5時前に起きてしまうことが増え、何となく高齢者向けのテレビショッピングでおせち料理を見たりしています。見ていると8寸相当の3段サイズで18000円だとか、早割りで2000円引だとか送料サービスだとかオマケを付けるだとか、このご時勢に消耗戦で勝負するのって大変だろうなあ~、とヒトゴトのように感じてしまいます。ネットショッピングでも盛んですよね。

私も一度、某有名人が監修したと表示された、ある有名なテレビショッピングのおせち重箱を担当したことがありますが、サンプルを2月に作り、5月には数量確定して製造発注していました。万単位の容器がトラックで工場からおせち業者まで伝票ひとつで運ばれ、モノを見ないうちに大きな金額が入金される。ビジネスとしては正解なんでしょうけど、性に合うかと言われると、なんだか微妙でした。

前職では地域密着の仕事を学び、得意先のオーナーと直に触れ合う喜びを教えていただきました。オーナーの方々の想いを聞き、一緒に考え、トラブルを乗り越えつつ作り上げていく「作品」を知ってしまった以上、僕の価値観はそれを「美しい」と感じてしまいます。人ぞれぞれでしょうけどね。

ちなみにそのテレビショッピングは、5品サイズ展開のうちの1品を担当しましたが、翌年には違う規格に変えられて消滅。容器なのか、サイズ感なのか、価格なのか、献立内容なのか、売れなかったのか、クレームが来たのか、本当の理由も聞かされずにカットとなりました。「作品」という感覚はゼロですが、これもビジネスですね。

 

さ、ここまでは前置きなんです。今回はおせち料理の単価の話。前置きが長すぎてスミマセン。

百貨店を中心におせち料理を見ていると、恐らくボリュームゾーンが2万~4万円くらいになります。百貨店はマージンを3割前後抜きますので、原価は大変厳しい。しかし消費者の立場からは、ホテル・料亭・有名レストラン系のおせち料理はこの価格帯なんだなあと感じます。そこで昨年のカタログ単価と比較してみると、この価格帯の多くの商品が5~10%上昇しています。25000円が27000円だったり、29800円が32800円だったり。しかし価格据え置きのおせち料理も15%ほどありました。そしてもうひとつ、1万円前半くらいで5~6寸1段のミニサイズが増え、単品惣菜のバリエーションも増えました。単品総菜は昨年から強く感じていて、黒豆や伊達巻・雑煮などの定番惣菜ではなく、お店のオリジナル一品の引き合いが増えています。年末年始の消費者行動が大きく揺れる昨今なので来年も続くかは不明ですが、何かのご参考になれば、と思います。 ※数字は全て私の調査範囲なので、あくまで参考値です。

これを読んでいただいている方々も、売価では悩まれたと思います。今のイクラの原価に私もビックリしましたし、既に入手困難になっている食材の話も聞きます。鮮魚市場では一部の仲卸から「来年はカニが下がる」とも聞きましたが、本当かよ?と信じられません。仕入価格の動揺はまだ数年続くと思いながら仕事するしかありません。そんな中、お客様のほうを見て「作品」として自信を持って販売されている皆様の投稿などを見ていると、とても嬉しくなります。

これからまた、あの眠れない日々に突入されていく皆様に、遠くからですがエールを送ります。年が明けて「良かったよ」と言っていただくヒトコトの美しさに、この仕事の全てがあると思っています。

前職の社長は私にこう言われていました。

得意先のオーナーから「あんたじゃないと出来なかった。本当に有難う」と言われたことが嬉しい、と。

我々からすると、こんなに美しい言葉はない。このヒトコトを頂けるから、私達も眠れない日々に突入できるんです。

 さあ、寒くなるのはこれから。

健康にだけは注意して、ムリヤリ頑張りましょう。

 

 

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